クリスマスが間近になると何となくぼんやりと思う事がある。サンタのことだ。

そう言えば昔はサンタさんが来るのを楽しみにしてたな、と、ふと考えてしまうのだ。

プレゼントそのものが楽しみだったというのもあるけれど、「いい子にしてたから」プレゼントをもらえる、という事実が嬉しかった。ワクワクした。サンタが自分の日頃の行いを見てくれていて、認めてくれていると実感できるのが嬉しかった。正体不明のあの高揚感はきっと、そういった事情に裏打ちされたものなんだと思う。

大人になってしまえば、サンタなんていなくて、プレゼントをくれていたのはお父さんだったんだってわかるんだけど。

 

「………」

 

むう。なんだかなぁ。夢がないなぁ。

一人暮らしだと何となくこういうとき寂しくなってしまって駄目だ。

 

「………んー」

 

そう言えば、彼はどうしているだろうか。

あんまりクリスマスにそういう思い出がなさそうな、彼は。

こんなきらびやかな装飾を前に、クリスマスについて思いをはせることもあるのだろうか…そんな事を思った。

 

今。何をしているのだろう、あの、

 

 

 

死神は。

殺人鬼は。