「おかえりー。レン、今収録終わったの?」
「・・・ただいま。収録もアップも終わったよ。」
「今回はカイト兄とがくぽ兄と一緒だったんだよね?」
「・・・そうだけど。」
「収録終わって嬉しくないの?」
「・・・・・・嬉しくないわけじゃないけど。」
「ユニット名ついてたよね、確か?」
「・・・『バナナイス』のこと?」
「もうあがってるんだよね。」
「それ聞いて・・・ってまさか!!?」
「それならチェックしーちゃおっと☆」
リンはにっこりと笑って、パタパタと去っていった。「っ!おい、こらリン!!ちょっと待て!!」
慌てて靴を脱ぐと、レンはその背中を追いかけた。「『バナナイス』で検索、っと・・・」
「リンっ!!!」
「へぇ・・・マスターにしては珍しい感じの曲だね。カイト兄もがくぽ兄もかっこいい。」
感心したように、リンは感想を述べる。「コメントの評判も良いみたいだし!でもレンはまだ歌ってないね?」
「・・・・・・・・・。」
(おかしいな・・・別に聴かれるの嫌な曲じゃないと思うんだけど。)
そう思いながら首を傾げた直後、レンの歌声が流れてきた。「・・・・・・・・・か、可愛いっ!!!」
思わずリンはそう呟いていた。「何でだろ・・・カイト兄やがくぽ兄だとかっこいいのに、レンだと凄く可愛いよ!?うわぁ、これちょっとキュンとくる!!」
「・・・だから嫌だったんだよ、聴かれるの!!」
「どうせ俺は少年声ですよ!鼻声ですよ!!滑舌悪いですよ!!!」
「えー?私は好きだけどな、レンの可愛い歌声♪」
「・・・・・それじゃ意味ないんだよ。」
「ん?何か言った?」
(今回こそは「かっこいい!」って言われるように頑張ったのに・・・結局また「可愛い!」かよ。)
「好き」と言われて悪い気はしなかったものの、やはりレンは悔しく思うのだった。